小樽の水 (ボトルドウォーター)
小樽の水は、かつて販売されていたボトルドウォーター(PETボトル入り飲料水)。小樽市の近代水道創設90周年を記念して、2004年9月の試作を経て、2005年11月に本格的な販売が開始された。小樽のみならず北海道外でも好評を得ていたものの、経費の高騰の問題から、2021年3月に販売を終了した。
販売の経緯
2004年9月に、小樽市の近代水道創設90周年を記念して、500mlPETボトル1万本が試作された[1]。小樽の水は北前船時代から、船乗りたちに「西の神戸、東の小樽」と言われた名水とされており、水道水も軟水のために緑茶や料理には最適として、PETボトル化したものである[1]。小樽の水道の発祥の地である奥沢水源地の水を奥沢浄水場で採取し[2]、塩素を除去して加熱殺菌処理しており、ラベルには奥沢水源地の階段式溢流路の写真が採用された[1]。10月には小樽市水道局に開設された試飲コーナーに多くの小樽市民が訪れ、「これなら買う」と商品化を希望していた[3] 。
2005年11月、小樽市内や札幌、岩見沢など23か所で販売が開始された[4]。小樽市のPRのために、ラベルは小樽運河の写真に変更された[5]。翌2006年4月には、郵便局のふるさと小包の利用による全国販売も開始され[6]、この4月のみで道内外から18件の申し込みがあった[7]。同2006年6月、道産品に特化した物産店を営む「まるごと北海道」が、東京都の台東区浅草の本店で試験販売を行ったところ、何の宣伝もしていないにもかかわらず予定の4ケース(96本)が1か月で完売、本格的な販売が開始された[8]。
この結果、ほぼ赤字であった初年度の2005年度に対し、2006年度は初めて夏場に販売したこと、市内観光地での販売が好調だったこと、コンビニでの販売、各種イベントでの直売もおおむね順調だったこともあって、わずかなに黒字となった[9]。小樽市はこの小樽の水の魅力について、水がわずかに酸性で、ミネラルがバランスよく含まれ、口当たりもよく、清涼感もある点と分析していた[8]。また、水を浄水する奥沢浄水場のろ過装置は、急速ろ過装置が主流となっている昨今において、昔ながらの砂ろ過方法で、時間をかけて水をろ過して不純物などを取り除いており、この装置が稼働しているのは小樽市内では奥沢浄水場だけとされている[7]。水自体に加えて、小樽運河のラベルも観光客の目をひいたと見られている[10]。製造コストは初年度は120円だったが、2006年度は大量生産で60円程度に圧縮し、コンビニからの発注に直接配送するなど経費を抑えたことも、功を奏した[9]。
2008年には新たな販路として、小樽典礼やわらぎ斎場小樽で参列者に渡す茶の代わりに「小樽の水」を用意したこと、オーセントホテル小樽の全室の冷蔵庫に「小樽の水」を置いたことで、販売実績は年度比1割増の約15万3000本を記録した[11]。北海度内の清涼飲料水メーカーは、年間10万本以上の販売量を「それなりの健闘といえる」と評価していた[12]。
2011年8月には奥沢ダムの堤体に陥没が発見され、奥沢浄水場も停止。4月に奥沢浄水場の水で製造した約6万本の在庫が尽きたため、2011年9月末に朝里川温泉の豊倉浄水場での製造が開始された。豊倉浄水場は水源と浄水方法が奥沢と異なるために、味の変化が心配されたが、「おいしい水」とされる基準を満たし、水道局は「奥沢浄水場の水と比べても遜色のないおいしさ」とPRしていた[13]。この2011年度は、約12万本を販売した[14]。
2012年度以降は民間のミネラルウォーターとの競争の激化により低迷が始まり、2012年度は約7万6000本[15][16]、2013年度は約8万本と、販売数はピーク時の約半分にまで落ち込んだ[17]。
販売の終了
2019年、岩内町の業者が事業から撤退したことで、小樽市は道南の業者と契約した。しかし、委託料や運送費など製造コストが高騰する一方で、値上げも難しいと判断されたことで、2019年秋の時点で製造が休止されていた[18]。2020年に入ると、この製造コストの高騰で赤字が続く見通しとなったことから、同時点の在庫約1万本を最後に事業を終えることが決定[18]、2021年3月31日に販売を終了した[19]。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 「小樽の水」1万本試作、市が商品化に向けPR」『読売新聞』2004年9月29日、東京夕刊、13面。
- ↑ 「水道水もいける? ペットボトル詰め製造 市水道局 防災用などで1万本 市民の試飲1日から」『北海道新聞』2004年9月29日、樽B朝刊、29面。
- ↑ 「「小樽の水うまい」ボトル詰めの試飲好評 市水道局」『北海道新聞』2004年10月2日、樽A朝刊、32面。
- ↑ 「雑記帳 小樽の水のおいしさを知ってもらおうと、小樽市は…」『毎日新聞』2005年11月2日、北海道朝刊、23面。
- ↑ 「市水道局の「小樽の水」きょうから販売 23カ所で計1万本」『北海道新聞』2005年11月1日、樽B朝刊、29面。
- ↑ 「好評につき全国にも 水道局の「小樽の水」水源地で採取 ふるさと小包で観光PRを狙う」『北海道新聞』2006年4月8日、全道朝刊、10面。
- ↑ 7.0 7.1 「小樽市水道局が「小樽の水」をゆうパックで全国販売」『北海道建設新聞』2006年04月29日、10面。
- ↑ 8.0 8.1 「小樽の水に都民熱視線 安全志向で 浄水場で採取、水道局製 隅田川花火狙い 29日東京で本格発売」『北海道新聞』2006年7月14日、全道朝刊、33面。
- ↑ 9.0 9.1 「小樽の水 じわり浸透 06年度初の黒字 増産、販路拡大へ」『北海道新聞』2007年5月15日、樽A朝刊、26面。
- ↑ 「「小樽の水」売れています 水道局 2万本製造を追加」『北海道新聞』2006年2月3日、樽A朝刊、32面。
- ↑ 「市販売の「小樽の水」売れた! 15万3000本 08年度 販路広げ1割増 斎場、ホテル客室で好評」『北海道新聞』2009年4月15日、樽B朝刊、29面。
- ↑ 「特報 土曜フラッシュ ご当地水道水 売れてます 道内7市町で商品化 ラベルに地域色 観光客に人気」『北海道新聞』2009年11月14日、全道夕刊、1面。
- ↑ 「変わらぬ味「小樽の水」取水地「豊倉」に切り替え販売」『北海道新聞』2011年10月19日、樽A朝刊、24面。
- ↑ 「現代かわら版 もうかりまっか「水商売」ペットボトル入り製造 大阪市は中止へ 札幌赤字「PR狙い」無料配布、高い容器代響く 小樽黒字 東京へ販路拡大」『北海道新聞』2012年2月8日、札圏朝刊、25面。
- ↑ 「水道水ボトル 落日 函館は撤退 札幌値下げ 飲料大手に押され苦境」『読売新聞』2013年4月30日、東京朝刊、25面。
- ↑ 「「小樽の水」人気低迷 競争激化 売り上げピークの半分に 市水道局 PR強化 新商品も」『北海道新聞』2013年4月11日、樽B朝刊、25面。
- ↑ 「「小樽の水」ラベル一新 水道100年で9万本生産」『北海道新聞』2014年6月7日、樽A朝刊、26面。
- ↑ 18.0 18.1 「「小樽の水」在庫限り終了 市水道局 製造コスト上昇で」『読売新聞』2020年10月16日、東京朝刊、25面。
- ↑ “ボトルドウォーター「小樽の水」の販売終了について”. 小樽市役所 (2020年11月22日). 2026年7月13日閲覧。
