アナタニサマ

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アナタニサマとは、札幌を拠点に活動する美術ユニットReguRegu(レグレグ)の小磯卓也が執筆した短編小説に登場する北海道小樽市に古くから伝わるとされる文学の妖精である[1] [2] [3]。人形制作は、小磯卓也と佳世との二人による美術ユニットRegu Reguによって手掛けられており、朽ちた剥製や古着の毛皮コートなどの廃品を材料に、過去の目撃証言を基にして再現されている[4]

アナタニサマとは

アナタニサマは、真冬の厳寒の夜、街灯の下などに突然現れ、通行人に対して「アナタニ」と言いながら一冊の本を差し出すとされる[5] [6]。その本を受け取ってページを開いてしまうと、あまりの面白さに読むのが止められなくなり、その場で凍死してしまうという伝説がある。[4][5]

身を守るためには、本を差し出された瞬間に「ヨミマシタ ヨミマシタ モウヨミマシタ…」という呪文を唱えなければならない。[3][5]呪文を唱えると妖精は即座に消え去るが、助かった者の多くは嘘をついたことを生涯後悔し、永遠に失われた本の幻を追い求めて文学の魅力に取りつかれると言われている[5]

来歴

文献上の記録によれば、アナタニサマが小樽で初めて確認されたのは1919年(大正8年)1月19日である。[5]同年1月26日付の新聞『日日小樽』には、凍死した男性と「アナタニサマなる怪物の噂」に関する記事が掲載された。[4][5]その後、同年2月2日に小樽市色内でアナタニサマに遭遇した女性が, 呪文を唱えて難を逃れたという逸話が残されており、このことから小樽では2月2日が**「アナタニサマの日」**として広まった。[5][7]

小樽では「2月2日に大切な人に本を贈ると、その人はアナタニサマに守られる(極寒の中で本を読み始めずに済む)」という風説が存在し、当時の子供たちの間では「た~んと本読んで アナタニサマに モウヨミマシタ ゆうちゃろう」という唄も流行したとされる。[5]

過去の目撃証言に基づくアナタニサマ

過去の目撃証言に基づくアナタニサマ個体別の特徴は以下の通りである。

1919年(大正8年)2月(遭遇者:畑山サチ、当時38歳):身長150センチ位。ボサボサの髪に大きな目、細くて長い手足にマフラーを巻いていた。[8]

1921年(大正10年)12月(遭遇者:笠屋万寿雄、当時40歳):身長1メートル位。毛皮の帽子に丸い眼鏡をかけ、獣のような体。小学校の時の担任の女性に似ていた。[8]

1925年(大正14年)1月(遭遇者:竹嶋トヨ、当時21歳):身長1メートル位。大きな顔に大きな目で、顔以外は毛に覆われていた。[8]

1926年(大正15年)2月(遭遇者:楢原軍司、当時18歳):身長1メートル位。全身が白い毛に覆われ、仏様のように神々しかった。[8]

1926年(昭和元年)12月(遭遇者:池田良太、当時20歳):身長1メートル位。大きな顔と目で毛だらけだが、人間の子供のようにも見えた。[8]

1927年(昭和2年)2月(遭遇者:正岡勝蔵、当時28歳):身長1メートル位。大きな目でベレー帽を被り、狸のような体をしていた。[8]

1927年(昭和2年)2月(遭遇者:伊藤カナ子、当時21歳):身長1メートル位。顔は大きく目は離れていたが大きかった。体は毛だらけで人間の子供のようだった。[8]

1928年(昭和3年)2月(遭遇者:森下孝三、当時18歳):身長1メートル位。大きな顔と目、毛だらけの体で手足は短かった。[8]

1928年(昭和3年)12月(遭遇者:本田洋二郎、当時32歳):身長1メートル位。毛皮の帽子に眼鏡姿で、なんとなく母親に似ていた。体は毛に覆われていた。[8]

1929年(昭和4年)1月(遭遇者:花田ツル、当時19歳):身長1メートル位。全身が毛に覆われているが、眼鏡をかけた上品な女性のようだった。[8]

1929年(昭和4年)1月(遭遇者:斎藤ハル、当時50歳):身長150センチ位。幼い子供のような顔で熊のような体。マフラーを巻き、ゴム長靴を履いていた。[8]

1930年(昭和5年)1月(遭遇者:坂田作治、当時20歳):身長1メートル位。大きな目で女性のような顔、全身が白い毛に覆われていた。[8]

1932年(昭和7年)2月(遭遇者:島田八十吉、当時21歳):身長60センチ位。眼鏡をかけた女の子のようだが獣のような体で、小さい頃に亡くなった妹に似ていた。[8]

1955年(昭和30年)2月(遭遇者:伊藤順二):小樽市住吉町で14人目の個体として遭遇された。[4]

アナタニサマごっこ

「アナタニサマごっこ」とは、2月2日の「アナタニサマの日」に合わせ、自身がアナタニサマになりきって、大切な人や心から読んでほしい本をSNSで紹介する活動である。[8]参加者は本を差し出している写真と本のアップ写真の計2枚に、本への思いを込めたコメントを添え、ハッシュタグ「#アナタニサマごっこ」と公式アカウントへのメンション「@anatanisama」をつけてX(旧Twitter)に投稿する。[7] [8] 公式サイトで配布されているスタンプを用いた写真コラージュや、公式グッズの「アナタニサマ手拭い」を被ることでアナタニサマになりきることができる。[8]

この取り組みは市立小樽図書館の協力を得て、紹介された本は夏休みの「おすすめ図書」として同図書館で展示・貸出が行われている。[9][4][7]また、小樽市長 迫俊哉[10]や小樽市総合博物館の職員もこの活動に参加している。[3]

イベント

アナタニサマに関連する主な展示やイベントは以下の通りである。

ReguRegu Exhibition in Otaru 「アナタニサマのいる街」(2023年10月) 「おたる Book Art week 2023」の関連企画として開催。メイン会場の裏小樽モンパルナスのほか、洋食台処なまらや(1体展示)、市立小樽文学館(2体展示)の計3会場で合計13体のアナタニサマ人形が展示された[11] [12]

屋外特別展示『文学の妖精 アナタニサマ展』(2024年2月2日) 「アナタニサマの日」を記念し、小樽運河プラザ中庭で開催。13体のアナタニサマ人形が一日限りで屋外展示された。[13]

「アナタニサマのいる街、再び」in Association with ReguRegu(2024年10月11日~16日) 「おたる Book Art week 2024」の関連企画。会場は裏小樽モンパルナス。従来の13体に加え、新発見された証言に基づく「14人目のアナタニサマ」が初公開された(14人目のみ写真撮影禁止)[14] [4]。会場では写真家・眞柄利香による再現写真パネルの展示も行われた。[4]

「アナタニサマの日」キャンペーン(2025年1月31日~2月2日) ジーンズショップロッキで開催。2月2日限定で7体が展示された。[1]

Happy Anatanisama’s Day(2026年2月2日) 裏小樽モンパルナス(特別展示)およびレンタルカフェGCGB(アナタニサマカフェ)で開催。14体すべてを一堂に展示。[7]

脚注